総集編 「老犬」 2005 11 6

老犬 an old dog 2004 7 2

 ある人から、このような話を聞きました。
冬の寒い日、ある家に、年老いた犬がいた。
老犬をいたわる飼い主を見て、ある人は、子犬を与えた。
飼い主は、老犬の家の隣に、子犬用の家を建てた。
 老犬は、飼い主の愛情が、子犬に移ることに不安と悲しみを感じた。
老犬は、元気に動き回る子犬を見て、自らの衰えと、
自らの死が近いことを悟ることになった。
 子犬は、決して、自分の家に入ることなく、老犬と一緒に寝た。
老犬は、子犬から伝わってくる暖かさで、生命の暖かさを知り、
同時に、きびしい冬の寒さをしのげると知って、
なぜ、子犬が来たのかを知ることになった。
 老犬は、子犬に対して持った嫉妬とも思える感情が、
いかに愚かなことかを知ることになった。
 春うららかな日、元気に、はしゃぐ子犬。
死んだかのように見えた木々が、次々と花を咲かせる。
 力強い生命の躍動が、春を知らせるが、
老犬には、それが、死を知らせることになる。
だんだんと気持ちが消えいく、そして見えなくなっていく。
 春の日差しを受けて、暖かくなっていく大地。
暖かい大地が、いくら老犬の体を温めても、それは、むなしい。
老犬の体は、ゆっくりと、しかし、確実に冷たくなっていく。
子犬は、老犬の最後を見て、やっと自分の家に住む時が来たことを知る。

 犬は、あなたより後から来て、先に行く。
なぜと問う前に、そこに意志が働いていることに気づくべきです。
人間に最も身近な動物、犬の役割に気づかなくてはならない。
犬を通して、人間に、何を知らせているかを知るべきなのです。






























































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